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減点主義と犯人探し

最近、何人かの銀行にお勤めされている方とお話する機会があって、僕は、以前、ある信用金庫の事務センターに常駐していた頃のことを思い出しました。

その頃、その信用金庫ではユニシスの勘定系ホストを富士通製にリプレースするための開発作業が行われていました。

開発は難航していて、何回も稼働予定日が延伸していました。

その信用金庫のコンピューターセンターでは、当然のように開発上のトラブルが発生して、そのたびに大騒ぎになっていました。

でも、その騒ぎ方は、富士通の人と信用金庫の人とでは、全然違っていました。

富士通の人(僕も当時その一員でした)が騒ぐのは、「原因が何で、修正方法はどうすればいいのか?」とか、「誰に聞けばやり方がわかるのか?」といったことで大騒ぎしていました。

一方、信用金庫の方たちの最大の関心は、「それは誰の責任なのか?」ということのようでした。
それがはっきりしないと、誰も動こうとはしない人たちだったという印象が僕には残っています。

つまり、彼らにとっては、「誰が減点対象になるのか?」が最大の関心事だったのです。

また、次のようなエピソードも思い出しました。
その頃、銀行というのは「減点主義」でした。
「手柄」をあげることも大事だったのでしょうけれども、それよりも「ミスがないこと」が最優先とされていました。

たぶん、「お金を預かったり貸したりする」ことが仕事なので、「ミスが許されない」という風土があったんだと思います。

銀行員がお金の勘定を間違えていたのでは、あきれられてしまいますから。

そのような体質でしたから、当時の銀行員にとって、「冒険」には、かなりの勇気が必要のようでした。

「うまくいくのが当たり前で、失敗したらキャリアに傷がつく」からです。

だから、前例にならって、冒険などせず、ノーミスで仕事をこなしていくのが彼らの流儀であったと感じられていました。

何か、従来のやり方を変えたために、トラブルが起これば、それは、やり方を変えた人が悪いということになり、出世に響いたり、出向という片道キップを手にすることになってしまうわけですから、それは当たり前のことです。

そこを突いて、彼らを脅していた営業も富士通にはいました。

銀行では、マルチベンダーでATMを購入しているのが普通ですが、当時は、1社に統一している銀行もありました。
その方が、安心感もあり、システムの運用コストも安くなるからです。
3社を採用すれば、仕様変更があった時には、3社分、つまりおよそ3倍のシステム変更費用がかかるので。

でも、たとえ富士通に統一してくれているユーザーであっても、他社の営業は出入りしていますし、虎視眈々と食い込みを狙っているのが普通です。

他社だって食い込もうとして必死なわけですから、時にユーザーも「富士通以外も入れてみようかな?」という気持ちになることだって珍しくありません。

そんな時は、ATMの価格だとか保守料とか、その他の条件を見直して「浮気」を防ぐのが普通です。
また、「マルチベンダーにすれば、運用コストが跳ね上がりますよ」ということも、ささやきます。

それでも浮気が止められないような時には、「脅す」こともあったようです。

「あの会社のATMを導入して万が一システムトラブルが起きたら、それは、全部、(導入を決めた)あなたの責任になりますよ。富士通製なら、今までも大きなトラブルはなかったですよね?本当に、そんな冒険をするんですか?」

そんな感じで「脅す」こともあったと聞いています。

すると、銀行は「減点主義」で「ミスがないこと」が最重要とされているわけですから、システム部長さんは、びびってしまい、他社の採用に踏み切れない、なんてことが起きているユーザーもありました。

実際には、どの会社のATMも品質には大差はなく、そのシステム部長が責任を取らなければいけなくなるような事態は、滅多にないのですが、「じゃあ100%絶対に安心か?」と言われてしまえば、それはやってみなければわからないことですし、なにしろ、「ひとつのミスも許されない」というのが銀行員でしたから、「冒険」は避ける傾向がありました。

僕が知っているそんな世界も、もう30年前の話ですから、今の銀行がどうなっているかは、もう僕にはわからないなぁなんてことは、最近、感じていました。

しかし、冒頭に述べたように、最近、何人かの銀行にお勤めの方とお話したら、どうも、そのような「減点主義」の体質は、今でも、残っているようだということがわかりました。

その是非を問うつもりは、僕には全くありませんが、その「減点主義」「完璧主義(ミスは許されない)」は、一部の人にとっては、過酷なもので、場合によっては、メンタル面で、傷つき、就業が続けられなくなったりすることもあるようです。

僕は、「よいことをやったら褒めてあげる」という「加点主義」の方が人間的だと思っています。

最後に、書いておきますが、「減点主義のもと、ATMをマルチベンダにできなかった銀行」においては、ものすごく割高にATMを購入していたということを書いておきます。

それが、総額で、いくらくらいだったか?

それは、こんなところに書くわけには行きませんが、下記に「ヒント」を書いておきますので、想像してみて下さい。

「ミスをおそれるがあまり、冒険をしなかった代償が、どれだけ大きかったか?」

当時ATMの価格は1台700万円くらいでした。

シングルベンダでの価格(単価)は、それより50万円~100万円高かったです。
それは、競争原理が働かないから、割高で購入せざる得なかったということです。

そして、地銀上位であれば、ATMの導入台数は数百台です。
そして、製品寿命は約10年だったので、10年経てば、全数リプレースということになります。

「ミスがないことに、こだわり、銀行員に完璧主義を求め続けたこと」

の代償が、どれだけ大きかったかは、皆さんのご想像にお任せします。

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プロフィール

「こころケア」カウンセラー平山靖高

Author:「こころケア」カウンセラー平山靖高
神奈川県川崎市中原区でカウンセラーをやってる平山靖高といいます。
1960年代の生れで、1980年代に早稲田大学を卒業後、富士通に就職。2014年に富士通を退職し、2年間バイトをしながら、カンセリングや心理学を学び、2016年7月にカウンセリングルーム「こころケア」を開業し、現在に至る。
離婚経験があり、現在は独身。ちなみに子供はいません。
詳しい自己紹介をブログ本文に載せているので、是非ご参照下さい。


ビール,音楽(最近のお気に入りは米津玄師のLemon),韓国旅行が好きです。

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