踏み込んではいけない領域

僕は、たまに、お客さんから、僕のメールに「冷たい印象を受けた」という旨のお言葉を頂いてしまうことがあります。

例えば、予約を頂いた時の返信は、僕の場合、下記のような感じです。

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〇〇さん

お疲れ様です。
下記のとおり、ご予約承りましたので、ご連絡致します。

【ご予約日時】
2020年〇月〇日(火)10:00-11:00

以上、よろしくお願い致します。

こころケア)平山靖高

-------------------------------------------------------------------------------------------
見て頂いたとおり、一切、余計なことは書かないようにしています。

これは、確かに、かなりの確率で「冷たい」という印象を与えてしまうのかもしれません。
それは、承知の上で、「わざと」余計なことは書かないようにしているのです。

顧客は、「カウンセラー」に会いにくるのであって、友達に会いにくるのではありません。
予約の連絡は、友人同士の何かの約束の連絡とは全く「質的に」意味が違うものです。

カウンセラーは、職業倫理上、顧客と友人関係を作ってはいけないことになっています。
ですから、僕は、必要事項以上のことは書かないのです。

たまに、

「〇〇に住んでいますが、そちらまで、どれくらい時間がかかりますか?」

という感じの質問が予約依頼のメールに書かれていることがあります。
そんな時には、

「なぜ、そんな簡単なことがわからないのかな?」

と感じますが、返信には「〇〇からですと、所要時間は〇分くらいだと思います」という程度のことは書きます。

すると、人によっては、

「ありがとうございます。早くお会いしたいですね」

とか書いて下さる方もいらっしゃいます。

そんな時であっても、僕の返信は上記のとおりで、間違っても、

「私も早くお会いしたいと思っています」

などとは書きません。

カウンセラーと顧客とは「早く会いたい」というのは、僕は少し意味が違うと思っています。

僕の理解では、

「お互いの都合の中で、なるべく早い日時に決める」

ということだと思っています。

「なるべく早く」とは、恋人同士が「早く会いたいね」とか言うのとは全然違って、

「何か問題を抱えていて、苦しかったりするのかもしれませんから、なるべく早くお会いしましょう」

という意味です。

お客さんは通常、何かに苦しんでいるわけですから、こちらも、

「なるべく早くお会いして、その苦しみを分かちあいましょう」

という話であって、それ以上でもそれ以下でもないわけです。

そこに余計な

「こちらも楽しみにしています」

とか、

「私も早くお会いしたいと思っています」

などと書けば、純粋な「顧客とカウンセラ-」という関係の中に「濁り」が生じる可能性があると思うので、冷淡だと思われるかもしれないとしても、余計なことは書かないのです。


顧客と友人関係になってしまえば、その方とは、二度と「カウンセラーと顧客」という関係には戻れなくなってしまいます。

そして、通常、友人であれば、何かしらの「私情」がからむでしょうから、正常なカウンセリングはできなくなってしまいます。

そんな背景があるので、僕は「冷淡な連絡」しかしないのです。
裏を返せば、その方に「ベストを尽くしたい」と思っているからこそ、余計なことは書かないとも言えます。


正直に打ち明けると、僕は、お客さんたちにお会いするのを毎回とても楽しみにしています。

「今日は、どんなお話を聴くことができるのだろう?」

と思ってお待ちしています。

そのお客さんの「世界」と「心の機微」を理解することで、僕のカウンセラーとしての「引き出し」も増えていくのです。
それは「職業上の」大きな喜びです。
そして、何かが解決した時には、他にないような喜びを僕も感じることができます。

そこには、「顧客なのか、友達なのか、わからない」などという、あいまいなものは入る余地はないということなんです。

言葉の重み

カウンセリングの基本は、「傾聴」といって相談者さんの話を共感的理解をもって「聴く」ことではありますが、当然、こちらから発言することもあります。

そして、僕のカウンセラーとしての発言は、時として、僕自身が思うより、はるかに重く相談者さんに伝わることがあります。
前回のカウンセリングで、僕が何気なくした発言を、相談者さんが、意外とキッチリ覚えていて、驚いたことがあるのです。

國分康孝先生というカウンセリングの権威がいらっしゃるのですが(残念ながら昨年亡くなりました。カウンセリング界にとって大きな損失だと思います)、その先生の「カウンセリングの技法」という本に以下のような一節があります。


「たとえば、こんな随筆を読んだことがある。ある人が結核になった。当時は手術も薬も開発途上であったので、医師は手術しても助かる見込みは半分だと言った。その患者は迷ったあげく、学生時代の友人(医者)に相談に行った。友人は「手術しろ」とすすめた。そのおかげで今日まで私は生きている、とその人はいう。ところで友人(医者)があとで言うのに、「俺は手術を受けろとすすめたが、万一手術が失敗してお前が死んだ場合、俺はお前の妻子の生活の面倒を見てやるつもりだった」と。


國分先生は、このような話を記して、カウンセラーの発言の重さについて述べておられるのです。
カウンセラーは、医師ではありませんが、その発言は、相談者にとっては、医師の発言と同様、重いものです。

従って、カウンセラーの発言は、重い責任を伴うので、よくよく気をつけなければならないのです。

「自分の言葉に責任を持つ」

これもカウンセラーの職業倫理かもしれません。

僕も、肝に命じておきたいと思います。






カウンセラーの職業倫理-個人情報保護-

最近、「アポ電」と言われる電話が入り、その家に現金があるかどうかなどを聞き出した後、強盗に入るという犯罪が立て続けに起こりましたね。

こうした犯罪は許せないものでありますが、そもそも犯罪者に電話番号が知られていなければ起きない事件でもあります。

こうしたことを例に挙げるまでもなく、個人情報の適切な管理・運用は、それを預かる者にとっては、非常に重要な課題です。

僕も体験したことがあるのですが、ある企業から、僕の個人情報が漏れてしまったことがあります。

その企業から謝罪の書面を頂いた後、しばらくして、聞いたことのない会社から、身に覚えのない架空請求が届きました。

当然、無視しましたが、このように、個人情報が漏れると犯罪に悪用されてしまいます。

僕のカウンセリングルーム「こころケア」 においても、その運営のため、利用者さんの個人情報を教えて頂く必要があるため、カウンセリングに関係のないことには利用しない旨ご説明の上、個人情報の提示をお願いしていますが、その運用・管理は厳格に行っています。

当方でお知らせ頂いている個人情報とその利用目的は以下のとおりです。

・お名前(利用目的:個人の識別)
・住所 (利用目的:税務関連処理、領収書の送付など)
・年齢 (利用目的:カウンセリングを行う上で最低限必要な情報です)
・メールアドレス(利用目的:カウンセリング日時の調整、あるいはメールによるカウンセリングを行うため等)
・電話番号
(利用目的:カウンセリング日時の調整ならびに、ご利用料金お支払いのお願いその他必要となる連絡事項の伝達)

これらの個人情報については、氏名と住所については、税務関連処理に必要なため、電子的に保存しておりますが、その他につきましては、漏えいリスク管理の観点より電子的には保存しておりません。

また、これらの個人情報につきましては、カウンセリング記録と同じく、最後のカウンセリングから1年を経過した方のものについては、シュレッダーにて裁断した後、廃却処理しております。

また、個人情報の利用にあたっては、本来の利用目的を逸脱した利用は行わないこととしています。

ですから、当方から、カウンセリングの勧誘を行ったり、年賀状、暑中見舞い等を送付するなどの行為は行っておりません。

但し、当方が必要と判断した場合には、カウンセリングのアフターフォローのため、ご連絡を差し上げることがあります。
この「当方が必要と判断した場合」には、例えば「売上を増やしたい」というような商業的な理由は一切含まれません。
僕のカウンセラーとしての経験上、その方には、今、どうしてもカウンセリングが必要だと考えた場合のみご連絡します。
これは、滅多にあることではありません。

個人情報の適切な管理・運用は社会的にも重要事項であると考えられることから、今後も厳格に行っていく所存です。

-次回に続く-

テーマ : メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

tag : 職業倫理

カウンセラーの職業倫理-守秘義務-

これは、当方(カウンセリングルーム「こころケア」)に来られた方には、初回に必ず説明していることですが、カウンセラーには「守秘義務」があります。

守秘義務」とは・・・・・わかりますよね。
相談者さんが、当方ヘ来て、お話になった内容を他に漏らしてはいけないということです。
これは、法律で定められているということのみならず、相談者さんとの信頼関係を築く上でも重要なことであり、当方でも厳密に遵守しています。

僕もカウンセリング内容については、友達、家族その他、一切他人には話しません。

これは、刑法134条に定められていることでもあり、もし違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金に処せられることになっています。

「6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金」と聞くと軽い感じがするかもしれませんが、刑事的責任を問われる他、民事の対象ともなり、司法の場に訴えられる(慰謝料を請求される)可能性もある重い義務です。

但し、何事にも例外というのはあるもので、守秘義務にも例外はあります。

それは、「通報義務」が「守秘義務」を上回ると考えられる場合です。
具体的には、以下ような場合には守秘義務の例外になると考えられます。

①児童虐待
②生命・身体の危機
③法令違反

当方では、まだ、このような例外に遭遇した事はありませんが、もし不幸にして、遭遇してしまった場合には、児童相談所や警察などの関連当局に通報義務を負うことになります。

この例外事項は、ほとんどの相談者さんには関係のないことであり、ご相談内容を当方が漏らすことはないので(秘密厳守)、安心していらしてくださればと思います。

なお、当方では、カウンセリング内容を電子的に記録することも行っておりません。

万が一、僕のPCがウィルスに感染して、PC内のデータが流出するようなことがあっても、そもそもデータがPC内にありませんから、秘密は守られるようになっています。
また、最後のカウンセリングから1年を経過した相談者さんの記録はシュレッダーにかけて処分しています。
これは、秘密漏洩を防ぐためには、そもそも必要の無いデータや資料を保持しないという考え方を徹底しているためです。


-次回に続く-

tag : 守秘義務

カウンセラーの職業倫理-二重関係の禁止-

今日は、カウンセラーの職業倫理のうち、二重関係(多重関係とも言うようです)の禁止について書きたいと思います。

これは、簡単にいうと、カウンセラーは相談者さんと友人関係や恋人関係を結んではいけないというものです。

なぜかというと、カウンセラーが相談者さんと友人や恋人になってしまうと、相談者さんの心理に微妙な変化が生じ、本音が話せなくなってしまったりするからです。

そもそも、カウンセラーと相談者さんというのは、かなり特殊な関係です。

カウンセラーに守秘義務(次回詳細記述予定)があることもひとつの要因だと思いますが、何よりも「カウンセリングルーム」という特殊な「場」の力が働き、相談者さんは、普通なら友人にも話さないようなことをカウンセラーには話たりします。

それが、友人や恋人となると「嫌われたらどうしよう?」とか、色々な雑念が生じ、全てを打ち明けることができなくなってしまうことがあるのです。

また、カウンセリングを終えた後も、この二重関係の禁止は続くものとされています。

だから、例え、どんな美人が僕のカウンセリングルームにいらっしゃったとしても、食事やデートに誘ったりしてはいけないのです。
まぁ、そんなことをやったら、職業倫理違反にとどまらず、セクハラで訴えられたりするかもしれませんが。

しかし、相談者さん側は、そんな事は知りませんから、たまに、相談者さんが、僕との距離を縮めようとしてくることがあります。
僕に、カウンセリングと直接関係のないLINEメッセージを送ってきたりする方がいらっしゃるのです。
そんな時は、僕は、「業務的」に対応することにしています。
変に思わせぶりな対応は取らないことにしています。
すると、その相談者さんは、当方から離れていってしまう、つまりカウンセリングに来なくなってしまうということが起こります。
実際にそういうことがありました。
きっと、その相談者さんたちは、僕のことを「冷たいカウンセラーだ」と思ったことでしょうが、それは職業倫理上、やむを得ずやっていることなのです。


-次回に続く-

カウンセラーの職業倫理-専門家としての能力向上-

多くの職業でそうであるように、カウンセラーにも職業倫理というものがあります。

中でも重要なのは、以下の3つであると思われます。

・専門家としての能力向上の責任
・二重関係(多重関係とも言います)の禁止
・守秘義務の厳守

今日は、このうち一つ目の「専門家としての能力向上の責任」について書きたいと思います。
どんな職業でもそうかもしれませんが、カウンセラーの仕事をしているとスキルに上限なんてないんだということを思い知らされます。
相談者さんに気持ちよく話してもらえるような「傾聴」に関する技法や様々な心の病に関する知識や対処方法、相談者さんの話を共感的に理解するための人生経験など、学ぶべきことはたくさんあります。
中でも縁が深いのは、臨床心理学、各種心理学、カウンセリング技法などでしょうか。

とにかく、どんな知識であれ、無駄になることはないと思って、色々と学ぶべきです。
例えば、心の病である「○○症」を抱えた方は、カウンセラーである僕は、当然「○○症」のことは知っているという前提でお話になります。

カウンセリングというのは生き物であるかのようなところがあって、その「○○症」についてタイムリーにあいずちがうてたりしないと、そのカウンセリング自体が「死んで」しまうことがあるのです。
その時になって初めて「○○症」という病名を聞き、カウンセリングが終わってから調べるというのでは、プロとして失格なのです。

必要な知識は、病気の知識とは限りません。
昨年、サッカーのWカップが開かれ、ドイツ代表のエシル選手をめぐり人種差別の問題があったことをご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、これは、決して遠い外国の話ではなく、白人の恋人を持つ日本人にとっては非常に身近で切実な問題であったりします。
相談者が、そのエシル選手のことを引きあいに出して、異国の恋人を持ったがゆえの自身の悩みを打ち明けた時、僕がエシル選手の話を知らなければ、相談者はがっかりしてしまうようなことがあるのです。
だから、お堅い学問の知識はもちろんですが、幅広く様々な知識を身につけ、ひとつでも、自分の「引き出し」を増やしておくことは、とても大事なのです。

仮にも、僕たちはお金を払ってもらい、相談者さんのお話を「お聴き」しているのです。

プロとして、「能力向上の責任」は重要であることは、おわかり頂けるかと思います。
僕も、昨年は20~30冊の本を読んで勉強しましたし、これは今後も続けていこうと思っています。


-次回に続く-

tag : カウンセラー 職業倫理

プロフィール

「こころケア」カウンセラー平山靖高

Author:「こころケア」カウンセラー平山靖高
神奈川県川崎市中原区でカウンセラーをやってる平山靖高といいます。
1960年代の生れで、1980年代に早稲田大学を卒業後、富士通に就職。2014年に富士通を退職し、2年間バイトをしながら、カンセリングや心理学を学び、2016年7月にカウンセリングルーム「こころケア」を開業し、現在に至る。
離婚経験があり、現在は独身。ちなみに子供はいません。
詳しい自己紹介をブログ本文に載せているので、是非ご参照下さい。


ビール,音楽(最近のお気に入りは米津玄師のLemon),韓国旅行が好きです。

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